前提情報 名古屋市基本構想全文
更新日:
昭和 52 年 12 月 20 日議決
名古屋市基本構想
目次
前文
名古屋は、日本の国土のほぼ中央にあって、伊勢湾・濃尾平野、木曽三川など豊かな自然環境に恵まれ、すぐれた可能性に富む日本有数の大都市である。
市制施行以来、近代都市の形成につとめてすでに八十有余年、その間、幾多の試練と困難を克服して今日の名古屋が築きあげられた。
わたしたちは、先人の努力の結晶であるこの名古屋を受け継ぎ、発展させて、次の世代に譲り渡さなければならない。
そして、後世に誇りうる豊かで明るい名古屋を建設するため広い視野にたって、先人に学び、市民の英知を集め、ここに新しい世紀を展望した基本構想を定める。
Ⅰ まちづくりの基本理念
わたしたちは、人間としての真の幸せを願い、憲法の精神にもとづき、ひとりひとりの基本的人権がまもられ、健康で文化的な生活のいとなめる個性豊かなまち、名古屋の建設をめざす。
1 市民自治の確立
わたしたちは、市政の主体は市民であり、市政運営は市民の信託のもとに行われるという原則にもとづき、ともに創意工夫し、自主性と責任をもって、地方自治の本旨の実現につとめ、よりよい明日の名古屋を築きあげる。
そのため、市民は、市政に強い関心をもち、たがいに連帯し、その主体としての自覚をたかめ、市は、この市民の意志にこたえて、議会制民主主義をつらぬき、民主的な市政運営をはかる。
2 人間性の尊重
わたしたちは、個人の尊厳と男女平等の原則にもとづき、ひとりひとりの市民が自信と希望にあふれ、その能力を十分に発揮し、真に生きがいのある生活のいとなめる人間性豊かなまちづくりをめざす。
3 特性と伝統の活用
名古屋は、ゆとりある土地、広い道路空間、堅実な市民性など貴重な要素に恵まれている。このなかから、わたしたちは、積極的に新たな可能性を発見し、有効に活用することによって、活力にみちた特色のあるまちづくりをすすめる。
また、歴史・伝統・文化などの豊かな社会的資産と自然環境を正しく継承し、さらに新しい要素を加えて、次の世代に譲り渡す。
Ⅱ 望ましい都市の姿
名古屋は、多くの先人たちの努力によって画期的な都市計画が実施され、整然とした市街地が形成されている。
わたしたちは、このすぐれた特性をいかし、住宅・事務所・工場などが緑と花と木陰につつまれ、まち全体が落ち着いた公園のふん囲気をかもし出すような、すぐれた環境と心の豊かさにみちた「ゆとりとうるおいのあるまち」の実現をめざして、次の4つの望ましい都市の姿を設定する。
1 安全で快適なまち
わたしたちは、市民の生命・財産が災害・公害・事故・暴力・犯罪などからまもられ、ひとりひとりの市民がその生涯をつうじて安心して生活できる明るいまちを実現する。
また、すべての市民にとって、日常の交通が安全で便利であり、学校・公園・遊び場・上下水道など生活に必要な施設のゆきとどいた、住みよいまちをめざす。
2 文化の香り高いまち
わたしたちは、市民の生活水準をたかめ、精神的な豊かさをはぐくみ、新しい都市文化を創造する。
文化は、日常生活に根ざし、市民の手によって受け継がれ、創造されるべきものである。
そのため、堅実な市民性に支えられた伝統的な文化を正しく継承し、発展させる。また、教育を振興し、新しい文化施設など文化環境をととのえ、市民の主体的な活動を通して、産業と学術の発展に即応する名古屋独自の文化的魅力のあるまちを築きあげる。
3 豊かで活気のあるまち
市民生活の基礎は、産業・経済の健全な発展と雇用の安定によって保障される。
したがって、わたしたちは、社会・経済の進歩と発達に対応した中小企業の発展、地場産業・知識集約型産業の伸長など産業構造の高度化はもとより、都市構造・消費構造の変化に即応した卸・小売業、サービス業などの振興をはかる。
このようにして、経済社会の進展のなかで市民ひとりひとりが、能力を伸ばし、真に生きがいをもって働き、より豊かな生活のできるまちをめざす。
4 心のふれあいとつながりのあるまち
わたしたちは、市民だれもが、自分たちのふるさととして住み続けたいと思う、心の豊かさとあたたかさの感じられるまちをめざす。
そのため、相互の信頼と連帯意識の向上につとめ、いわれなき差別や偏見がなく、社会的に弱い立場のひとびとも疎外されない地域社会の実現につとめる。
Ⅲ 名古屋の役割
名古屋は、名古屋大都市圏、ひいては中部圏の中枢都市として、重要な役割をになっている。また、わたしたちの生活も、名古屋がこのような役割を果たすことで支えられている。
交通・通信手段の発達によって、名古屋と各地域との結びつきは、ますます強まるものと予想される。
わたしたちは、このような状況のなかで名古屋が果たさなければならない役割を正しく認識し、まちづくりをすすめる。
1 名古屋大都市圏の中枢都市
名古屋は、愛知・岐阜・三重の東海三県にまたがる名古屋大都市圏のなかで、経済・社会・文化などあらゆる分野において重要な役割を果たしてきた。この役割は、将来なおいっそう強まるであろう。
わたしたちは、このような名古屋の役割を認識し、関係県・市町村との連帯と相互理解を前提として、土地利用の計画・誘導、都市基盤の整備、産業の適正配置とその振興などをはかる。
また、この圏域に住むひとびとの生活の向上をめざし、中枢管理機能の強化、交通体系の整備、広く相互に利用される各種の社会・文化・教育施設などの整備充実につとめる。
2 太平洋岸の代表的都市
名古屋は、東京・大阪とともに、人口・産業および各種の中枢機能が集中し、広域的都市化のすすんだ太平洋岸ベルト地帯に位置している。
今後、国土の均衡ある発展をはかるためには、この地帯に含まれる大都市間において、それぞれの条件に応じた役割分担をはかることが望まれる。
わたしたちは、名古屋の地理的な条件をいかし、産業・経済を振興するとともに、とくに文化・学術機能の強化につとめ、個性と魅力のある都市をめざす。
3 国際的にひらかれた都市
日本の経済的、文化的な国際交流は、ますます発展するものと想定されている。
わたしたちは、このことを十分認識し、常に広く世界に目を向け、アジアの各国をはじめ諸外国との経済の交流はもとより、情報・文化・学術・スポーツなどの幅広い交流を強め、国際感覚豊かな市民性を育てる。
また、名古屋およびその周辺地域の国際化をはかるため、国際的な機関との連けいを強めるとともに、名古屋港の機能の強化、国際空港など交通・通信手段の発達に対応した施設の整備、新しい国際的機関の誘致などにつとめる。
Ⅳ 施策の大綱
わたしたちは、名古屋の望ましいまちづくりをすすめるため、ここに施策の大綱をかかげる。施策の前提となる基本指標として、資源・環境などの制約条件、都市機能の集積の度合い、都市施設の整備状況などを配慮しながら、適正な都市規模を設定し、新しい世紀にむけてゆるやかな人口の増加をめざしつつ、1990 年における常住人口を 220 万人、昼間人口を 260 万人と想定する。
1 市民の福祉と健康
わたしたちは、市民がひとしく健康で文化的な生活のいとなめる福祉社会の建設をめざす。
そのため、人間性あふれる福祉のまちづくりにつとめるとともに、社会的に弱い立場の人たちを大切にする福祉風土づくりをすすめる。
また、市民ひとりひとりの健康が生涯をつうじて保障されるよう保健衛生の充実につとめる。
(老人福祉)
人口構成の老齢化、高齢化が全国的にすすむものと予想され、名古屋においても、65 歳以上の老齢人口の占める割合は、1990 年には常住人口の 1 割をこえるものと想定される。
このような老齢人口の増加傾向に対応し、市は、年金制度・医療保障制度など、制度の充実を基本として、さらに老人が健康で生きがいをもって活動し、いこうことのできる各種施策の充実強化につとめる。
(児童福祉)
次の時代をになうすべての子供たちは、よい環境のなかで、心身ともに健康に育ち、豊かな人格が形成されるようみちびかれなければならない。
市は、子供たちのための各種施策と条件をととのえ、子供たちが安全にのびのびと育ち、活動し、学ぶことのできる環境づくりにつとめる。
また、婦人の職場への進出は今後も増加するものと予想されており、子をもつ婦人の労働条件の改善とともに、母と子の立場を尊重した保育政策をすすめる。
さらに、母子家庭などに対する生活の安定をはかるための施策の充実につとめる。
(障害児・障害者福祉)
障害児・者があたたかく社会にむかえられ、市民のひとりとしてひとしく参加できる社会の建設をめざす。
そのため、市は、各種施設をととのえ、機能回復訓練、職業訓練、療育・生活・結婚相談などの事業を充実し、雇用機会の拡大につとめる。
また、障害児・者がすすんで行動できるようなまちづくりをすすめる。
(保健・医療)
市は、市民ひとりひとりの健康を保障するため、民間機関との協力のもとに、健康の増進から疾病予防・治療・機能回復訓練までの一貫した保健・医療体制の実現をめざす。
とくに、保健所・市立病院などの公的保健・医療機関は、地域の保健・医療体制の中心として、市民の要請にこたえうるよう、その整備充実につとめる。
(環境衛生)
市は、有害な物質や不良な環境による健康阻害を防止し、市民の生活環境を衛生的に保持するため、食品・環境衛生の充実強化につとめる。
2 都市の安全と環境
わたしたちは、市民が災害・公害・事故・暴力・犯罪などからまもられ、良好な自然環境と清潔な生活環境のもとで快適に生活できる都市を築きあげる。
(災害の防止)
市民の生命・財産を災害からまもるため、伊勢湾台風などかつての不幸な体験を教訓として、総合的な防災計画のもとに災害に強く安心して暮らせる安全なまちづくりをめざす。
そのため、市は、市民の防災意識をたかめるとともに、日常の防災体制、災害時の応急体制、災害後の復旧体制がすばやく円滑に機能する総合的な防災システムを確立する。
また、地震・大火災などに備えて、全市的な構築物の耐震化・不燃化をめざすとともに、安全な避難路・避難場所などを確保する。
台風・集中豪雨・高潮などによる被害は、未然に防止されなければならない。そのため、市は、関係機関と協力して海岸・河川・下水道などの整備をすすめるとともに、貯・排水施設の充実強化、かさあげなど低地地帯の対策、地盤沈下の防止につとめる。
(公害の防止)
市民の健康と良好な生活環境を確保するため、公害のないまちづくりをめざす。
そのため、市は、市民とともに、原因者負担の原則をつらぬき、公正な方法により、公害の防止・除去、環境の回復、公害被害者の救済につとめる。
また、市民の合意と科学的な裏づけを基礎とする土地利用、開発にともなう環境への影響の事前評価などにより、公害の発生を未然に防止していくほか、環境上の基準を設定し、公害発生源の監視、総量規制の拡充強化をはかる。
(自然環境の保全と緑化)
残された自然環境の保全と新しい緑の造成につとめ、「白いまち名古屋」のイメージを返上して、美しい市街地の実現をめざす。そのため、市民ひとりひとりが自然を愛し、緑を育てる市民意識の向上につとめる。
市は、市民とともに、市内に残る樹林地・河川・池沼などの保全につとめる。また、農地を生産的な緑地として位置づけ、市街化の進展との調和をはかりながら保全する。
さらに、公園・河川敷などの緑の空間を拡充整備するとともに、道路・学校・住宅・事務所・工場の緑化、新しい緑道の設置などをすすめ、緑あふれるまちづくりをめざす。
(都市の美観)
市民は、都市美化への関心と理解をたかめ、たがいに協力して美しく楽しいまちづくりにつとめる。
市は、市民の積極的な参加をえて、調和のとれた魅力ある都市景観の創造をめざす。
(廃棄物の処理)
市民は、資源の有限性を自覚し、物を大切に使い、廃棄物を減らすようにつとめる。
市は、市民の協力のもとに、家庭などから出される一般の廃棄物を衛生的、能率的に収集、輸送し、処理する体制を確立する。
また、事業活動による廃棄物が事業者の責任において適正に処理されるようつとめる。
3 市民の教育と文化
わたしたちは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を愛し、社会に貢献できる心身ともに健康な市民を育成するとともに、市民生活に根ざした普遍的、個性豊かな文化の香り高いまち名古屋の創造をめざす。
(教育)
すべての子供たちは、ひとりひとりの可能性をのばしうるゆきとどいた教育を受ける機会が与えられる。
そのため、市は、子供たちが安全で快適に学びうるよう、学校の施設と条件をととのえるとともに、教育の内容充実、教職員の資質向上などにつとめる。
幼児教育、高校教育は、関係する機関の一貫した協力により入園・進学希望者が希望にそえるよう、その体制を整備するとともに、公私格差の是正をはかる。
市は、文化・学術都市をめざす名古屋の基盤として、専門的高度な教育・研究機関の拡充整備と積極的な誘致をはかる。さらに、これらの機関が、広く市民に親しまれ、内外との文化・学術交流の中心となるようつとめる。
また、障害児・者の教育を保障するため、関係機関と協力して、施設の拡充整備、就学援助、環境の整備など総合的な施策の充実をはかる。
すべての市民がその生涯をつうじて教養をたかめ、知識・技能をみがき、生きがいと喜びをもって日常生活をいとなみうるよう、市は、図書館・社会教育センターなどの各種社会教育施設を体系的に整備充実する。また、そのような市民の自主的な学習活動に対して援助、助成を強める。
(文化・スポーツ)
多くの文化財、歴史的遺産、伝統芸能は、これを正しく継承し、市民共通の財産として保存し、活用されなければならない。
市は、詩情豊かなまちづくりをすすめ、個性ある新しい都市文化の創造をめざして、美術館・文化芸術センター・市民劇場などの文化施設を整備するとともに、市民の自主的な文化・芸術活動の助成につとめる。
さらに、市民の健康を維持、増進するとともに、やすらぎとうるおいのある日常生活を確保するため、各種のスポーツ・レクリエーション施設の体系的な整備、指導者の養成、活動助成と普及などにつとめる。
(婦人・青少年)
市は、婦人が生涯をつうじて地域社会の諸活動にひとしく参加できるよう、その社会的地位と福祉の向上につとめる。
また、人間性豊かで自信と希望にあふれる青少年の育成をめざし、その福祉の向上、まちづくりへの参加、活動する場の整備をはかる。
4 市街地の整備
わたしたちは、心豊かな人間環境の形成をめざし、長期的な展望にたつ総合計画のもとに、体系的に市街地の整備をすすめる。
(土地利用の構想)
市街地は、適正な制限のもとに合理的な土地利用がはかられるよう誘導され、計画的に整備されなければならない。
そのため、市は、市街地形成の推移と現状をふまえ、地域の特性をいかしながら、次のような地域ごとの整備方向にそって、自然環境の保全、文化・居住環境の向上、都市機能の充実をめざす。
都心地域は、環境対策に十分配慮しながら、中枢管理機能などの集中する地域として、専用化と高度化をめざす。また、過密による弊害を未然に防止するため、すでに存在している機能をみなおし、必要に応じその分散をはかる。
なお、地理的な条件、交通機関の整備状況、土地利用の推移などを考慮して、都心地域の機能を分担する新しい集積の場の形成をはかる。また、日常生活の利便性をたかめるため、地区中心商業地の育成につとめる。
既成市街地に広がる住宅地は、居住環境の整備など積極的な定住策を講ずるとともに、交通の便利な地区、工場移転跡地などを有効に利用し、人口の急激な減少防止をめざす。
また、東部丘陵地など市周辺部の市街地形成が比較的新しい地域は、つとめて住宅地としての専用化をはかり、緑の多い住宅地として整備する。
名古屋港の背後に広がる工業地は、可能なかぎり、高度加工型・知識集約型工業への転換をはかり、敷地内の緑化はもとより、公害の防止、工場災害の防止につとめる。
また、従来から立地している内陸工業地は、住工混在による弊害の除去をめざし、公害の防止につとめるとともに、必要に応じ工場の移転あるいは業種転換、集約化などを促進する。
流通機能の向上をはかるため、流通業務施設は、可能なかぎり市の周辺地域へ計画的に分散し、誘導する。
(住宅)
住宅は、市民の生活基盤であり、良質で十分な広さをもつものでなければならない。
そのため、市は、質の向上に重点をおいた公的住宅の供給とその適切な配置につとめるとともに、良好な民間住宅が確保されるよう諸施策を推進する。
また、緑の保全、日照の確保、近隣騒音の防止などをはかるとともに、コミュニティ施設を整備し、健康で快適な居住環境の創造をめざす。
(水)
水は市民生活においてなくてはならない重要な資源である。
したがって、市は、治水との調整と関係機関との協力のもとに水源確保と水質保全につとめ、給水能力を確保し、安定した供給をはかる。
また、節水方策と漏水対策をすすめるとともに、産業用水の循環利用などにより水の有効利用を促進する。
公共下水道を整備、増強し、普及率 100%をめざす。また、排水規制の強化、浄化用水の導入などにより、堀川・新堀川など市内河川を浄化し、沿岸の緑化とあわせて美しい市民のいこいの場として整備し、活用する。
(交通)
道路・鉄道・港湾・運河などの交通施設は、市民の日常生活および物資流通などの都市活動を支える基盤であるとともに、市街地形成の骨格をなしている。
したがって、市は、都市構造・都市活動に対応し、公共交通機関優先の原則にたった総合交通体系の確立をめざす。また、交通施設の整備にあたっては、環境対策と交通弱者をまもる対策につとめる。
道路は、生活道路、幹線道路、自動車専用道路など、それぞれの機能分担を明確にしながら整備するとともに、地域の特性に応じたきめの細かい配慮につとめる。とくに、歩道、歩行者専用道路、自転車道、避難路などを整備し、市民生活に密着した生活空間の確保をはかる。
鉄道・バスなどの公共交通機関は、新しい交通システムの導入の検討を含めて、その路線網の整備充実、輸送力の増強、乗り継ぎ点の整備、サービスの向上などをはかるとともに、都心部への自動車の過度な流入を抑制する方策を強める。
国際貿易港としてその地位をたかめ重要な役割を果たしている名古屋港は、国際的な総合港湾機能をいっそう充実させるとともに、内貿港湾機能の向上をはかり、さらに市民に親しまれる港として整備する。
(通信・エネルギー)
市民生活、経済活動を支える通信および電力・都市ガスなどの供給施設について、省資源・省エネルギー・防災面に留意しながら、安全で効率的な体系の整備充実をはかる。
5 市民の経済
わたしたちは、市民に雇用の機会と安定した所得を保障する豊かで活力のある都市の活動を確保するため、地域社会との調和のもとで市民生活を支える産業・経済の振興をはかる。
(産業振興)
市は、産業振興のための基盤となる流通業務施設、基幹的な供給処理施設、輸送施設、技術研究施設など各種施設を適正に配置、誘導し、その整備をすすめ、情報・金融などの中枢管理機能の強化をはかる。
名古屋の産業において大きな比重をしめる中小企業、伝統的な地場産業などの商工業は、産業経済構造の変化に対応する経営基盤の強化をはかり、新しい時代に適応できる都市型の産業としてその育成と発展につとめる。また、国際化がすすむなかで、貿易と観光の振興をはかる。
(都市農業)
都市農業は、生鮮食料品の安定供給をはじめ、緑とうるおいを与える産業として位置づけられる。
そのため、市は、市街化の進展との調和をはかりながら、農地の保全につとめる。
また、市西南部に広がる集団農地について、生産基盤の整備、経営の近代化など積極的な振興策をすすめ、農業生産の場として育成する。
(勤労者福祉)
勤労者が安全で快適に働ける職場環境を確保するとともに、福利厚生施設の充実につとめる。とくに、未組織労働者の福祉対策の強化をはかる。
(消費生活)
市民の消費生活をまもるという立場にたって、市は、消費者に対する情報の提供、活動助成、相談体制の充実につとめるとともに、物価の安定策の拡充、商品の安全性の確保など消費者保護のための施策を推進する。
さらに、中央卸売市場の整備など生活必需物資の安定供給をはかり、市民の消費生活の安定と向上につとめる。
Ⅴ 市政運営の基本姿勢
わたしたちは、市が、この基本構想にかかげた基本理念、望ましい都市の姿、名古屋の役割、施策の大綱をふまえ、次の基本的な姿勢をつらぬき、市政運営をはかることを確認する。
1 市民参加の保障
市は、市民参加の多様なあり方を探究し、市民参加を保障する市政を定着させるため、広報広聴活動を充実し、情報の公開につとめる。
また、市民ひとりひとりがたがいに連帯し、創意工夫し、自らすすんで市政に参加できる機会と場を提供することによって、政策の決定と実行の過程に、市民の意見が反映されるようつとめる。
2 市民本位の市政
市は、市民生活優先の原則にたち、縦割り行政によって生ずる弊害をあらため、時代の変化に柔軟に対応する総合的で計画的な市政の運営をはかる。
また、地域の実情と特性をふまえ、市民生活に直結する地域機能の強化、コミュニティ政策の確立など、きめの細かい市政の実現をめざす。
3 関係県・市町村との連帯
市は、広域的な運命共同体としての基本的認識のもとに、関係県および名古屋大都市圏内に広がる関係市町村との情報連絡を密にし、相互の自主性を尊重しながら、ともに手をたずさえ、広域的な問題の解決にあたる。
また、他の大都市と連帯し、相互に学び、大都市に共通する問題の解決にあたる。
4 行財政制度の改革
市は、地方自治の本旨がいっそういかされるよう、市民および関係する地方公共団体と協力して、国に対し、事務の適正な配分、権限の強化、税財政制度の改革など、行財政制度の改革を要請する。
また、自ら努力し、合理的で能率的な行政の運営をはかり、増大かつ多様化する市民の要請にみあう自主財源の確保につとめる。
むすび
わたしたちは、市がこの基本構想を長期にわたる市政運営の指導理念とし、これに即して基本計画などを策定して、市政を総合的かつ計画的に運営していくことを確認する。
また、この構想が市民の諸活動の指針となるとともに、国・県などの関係機関をはじめ、すべてのひとびとによって尊重されることを期待する。